岡山プレモルオーケストラ
第9回定期演奏会
2026年1月25日(日)
早島町町民総合会館
ゆるびの舎 文化ホール
開場 13:00 開演 14:00
ごあいさつ
団長 木村 颯
本日は「岡山プレモルオーケストラ第9回定期演奏会」にご来場いただき、誠にありがとうございます。
当団は岡山にゆかりのある若手演奏家を中心に結成されました。若い組織ゆえにメンバーは常に流動的ではありますが、それは常に新しい息吹がもたらされるということでもあります。
変化を恐れず、進化を続ける私たちが、こうして第9回となる定期演奏会を開催できますことは、ひとえに皆様の温かいご支援のおかげと深く感謝申し上げます。
毎回の演奏会が、私たちにとっては新たな挑戦です。今回もインスペクター山﨑氏、サブコンダクター景山氏の尽力のもと、団員一丸となってこの日を迎えることができました。
本日は、鹿児島県出身の新進気鋭、福留音央氏を指揮にお迎えしております。 若きマエストロと私たちが紡ぎ出す「一期一会」の音楽を、どうぞ最後までごゆっくりお楽しみください。
指揮者紹介
福留 音央
Fukutome Neo

鹿児島県指宿市出身。
鹿児島県立松陽高等学校管打楽器科トランペット専攻を卒業。
2023年4月に東京藝術大学音楽学部指揮科に入学。現在3年在学中。
これまでに指揮を下野竜也、山下一史、現田茂夫、三河正典の各氏に師事。
また、ファビオ・ルイージのマスタークラスを受講。
指揮法を小田野宏之、高関健、 ピアノを伊藤典子、長瀬賢弘の各氏に師事。
曲目解説
文責:景山慶彦
L.v.Beethoven
交響曲第4番変ロ長調 Op.60
偉大な第3番英雄と第5番(通称運命)に挟まれ、少しマイナーな第4番ですが、私はむしろこちらの方が好きです。
ベートーヴェンにしては即興性を感じ、全楽章長調で明るく、長さも程よく、くどすぎる所がないので気楽に聴くことができるのではないでしょうか。
演奏する立場から言えば、速弾きの大変な第4楽章(特にファゴットソロ)など、演奏が困難なのでアマチュアがなかなか手を出しにくい曲でもあります。演奏機会が少ないので今回演奏できるのは大変喜ばしいことです。
この曲に通底する雰囲気は、若干の躁状態を感じるほど明るく、生き生きとしています。勝手な想像ですがベートーヴェンは恋愛をしていたのでは?
少々俗っぽいですがその観点から解説してみたいと思います。
第1楽章 変ロ長調 Allegro vivace
この曲は変ロ長調ですが、冒頭意味深なピチカートから始まり不安の中を手探りで進んでいくような旋律は、陰鬱とした変ロ短調です。その後第一バイオリンだけで、ポツリポツリ独り言のような所があったり、調性も不安定で変ロ長調にいく気配もありません。
まるで告白しようか、しまいか、逡巡しているような意気地なさを感じます。
しかしその後バイオリンのA音の連打を皮切りに、変ロ長調のドミナントであるF-durの和音がティンパニの激しいロールと共に現れ、ヴィヴァーチェの主部に元気よく突入すると変ロ長調が確定します。
ああ良かった、告白が成功したんだな。
主部のバイオリンの上下激しくスタッカートで動き回る主題を聴くに、付き合えることになってウッキウキで調子に乗っているベートーヴェンおじさん(作曲当時36歳)の小躍りのようです。
その後もシンコペーションを多用し、終始明るいまま第一楽章を終えます。
第2楽章 変ホ長調 Adagio
冒頭第二バイオリンに現れる付点のリズムが、心臓の鼓動のように聞こえます。
このリズム、指揮者のカルロス・クライバーのテレーズ事件で有名です。
クライバーはウィーン・フィルにこの箇所について、「テレーズテレーズと弾いてくれ、君たちのはマリーマリーだ」と言ったが、ウィーン・フィルに意図が伝わらず、ブチ切れてリハを中断し帰ってしまい、そのコンサートはキャンセルとなりました。その代役のロリン・マゼールが「それなら俺はマゼールマゼールで行こうか」と言った話も面白いですが、ベートーヴェンの恋人だったテレーズの名前をクライバーが挙げるあたり、クライバーもこの曲を恋愛交響曲と考えていたのかもしれません。クライバーはマイナーだったこの曲を何度も取り上げ、知名度を上げるのに貢献しました。
余談が長くなりましたが、その後のバイオリンとビオラの二重奏も男女の二重唱のようで大変ロマンチックです。終始美しいメロディに包まれていて温かい気持ちになれる楽章です。
第3楽章 変ロ長調 Allegro vivace
スケルツォなので三拍子ですが、主題はヘミオラになっていてそれが余計に生き生きとした感じをだしています。
トリオは木管の温かい主題の合いの手でバイオリンがこしょばすようなモチーフが印象的です。
※ヘミオラ:譜面がないと説明が難しいのてすが、小さい三拍子と大きい三拍子が同時に聞こえるような感じです。ヘミオラで有名な曲はシューマンの交響曲第3番ライン。
第4楽章 変ロ長調
Allegro ma non troppo
頭から最後まで速弾き大会のような曲で、演奏者の必死の形相をお楽しみください。この曲の異様なテンションはベートーヴェンならではです。そのまま躁状態で突っ走って行きますが、最後の最後、急に我に返ったように静かになります。どうしたのかなと思ったらまた速くなって気づいたら終わったという感じです。本当にこの頃のベートーヴェンは幸せだったんだろうな、という気持ちのよい名曲だと思います。
L.v.Beethoven
交響曲第3番変ホ長調 Op.55
ベートーヴェンの交響曲第1番も第2番も名曲ですが、第3番英雄はそこから圧倒的な飛躍をしました。それまで演奏時間30分程度だったのが英雄は50分、第1楽章と第2楽章だけで30分を超えます。当時の聴衆は長さに耐えられたのでしょうか。皆様も退屈になったら寝てください。いびきはかかないように。
しかしただ長くなったわけではありません。絶好調だったベートーヴェンのアイデアが溢れ出て、全て詰め込んだといった感じです。
それを簡単ではありますが、解説してみたいと思います。
※メロディは全て移動ドで書いてあります。
第1楽章 変ホ長調 Allegro con brio
冒頭、主和音が2回連打されます。これはこの曲がすべての楽章において、分散和音で作っていくよ、という宣言です。
ところで、交響曲の多くは4つの楽章で構成されます。テンポの速い楽章が第1楽章と第4楽章、遅い楽章が第2楽章、踊りの楽章が第3楽章です。この4つの楽章はただ適当に並べたわけではなくて、調性は関係調を用いるし、音楽的にも必ず連関があります。英雄の場合は主題が全て分散和音で成り立っています。
第1楽章の場合、冒頭の和音連打のあとはチェロによって(ドーミドーソドミソドー)という分散和音そのまんまのテーマが演奏されます。これだけ聴くと面白くもなんともないのですが、この(ドーミドーソドミソドー)の中に既に2つの動機が含まれています。動機とは主題を構成する最小単位のことで、文章を主題としたら動機は単語のようなものです。この場合、動機は(ドーミドーソ)と(ソドミソー)の2つです。真ん中の「ソ」は共用されています。
この動機の話は一旦覚えておいていただいて、また別の話をします。
ソナタ形式の構成の話です。
ソナタ形式は交響曲の第1楽章ではほぼ100%使われる形式ですが、
①提示部②展開部③再現部④終結部
で構成されます。
①提示部では2つの主題が提示されます。第1主題と第2主題です。第1主題は主調、第2主題は属調(短調では平行調、例外も多数)この主題には先ほど述べた動機がいくつか含まれています。
②展開部では提示部で提示された動機を使って自由に展開していきます。クライマックスは大抵ここに置かれます。
③再現部では提示部をそのまんま繰り返すのですが第2主題の調性だけが違います。
④終結部は楽章のシメです。
ベートーヴェンの英雄がなにが革新的だったかと言うと②展開部④終結部が異常に長く内容が濃いことです。
それまでの交響曲では
①提示部40%
②展開部15%
③再現部40%
④終結部5%
くらいだったでしょうか(私の感覚ですが)。
英雄の第1楽章では
①提示部153小節 22%
②展開部245小節 35%
③再現部159小節 23%
④終結部135小節 20%
と展開部が1番大きく、終結部もシメにしては多すぎやしないかという量です。これは提示部に含まれている動機の数が多く、それを徹底的に使い倒していくうちに膨れあがったのだと思います。書いているうちに新しいアイデアが次から次へ浮かんだのでしょう。まさに絶好調です。
このようにベートーヴェンの特徴は主題の中の動機を用いて、それを変形、発展していくことを主眼に置いた音楽づくりをしていることです。これを「主題労作」と言います。
実質的後継者であるブラームスが「ドヴォルザークがゴミ箱に捨てたメロディで交響曲が書ける」 (これは、ドヴォルザークのメロディメーカーとしての才能を評価すると同時に自分の主題労作の能力を自慢している) と述べたように、ベートーヴェンもまた、そうであったと思われます。
特に英雄交響曲においては過去作第1番、第2番をはるかに凌駕する完成度で、主題労作できたといえます。
この完成系が、かの運命交響曲として結実しました。ちなみにベートーヴェンの最もお気に入りの交響曲は運命ではなく英雄だったようです。
第2楽章 ハ短調
Marcia funebre (葬送行進曲)
Adagio assai
冒頭バイオリンで奏される主題の中に分散和音が隠れています。
(ソーソソー レドーシドーレ ミーード ソーーファミーレドー...)
葬送行進曲とはキリスト教式の葬儀で棺を墓地に搬送するときの行進をモデルにして作られた曲です。
特徴的なタン・タンッタ・タンという付点のリズムが必ず用いられます。(マーラーの交響曲第5番の第1楽章でややパロディチックに用いられています。)
バイオリンで奏された第1主題はオーボエの物悲しい音色で確保されます。中間部はハ長調で少し明るくなり、故人の思い出を語らっているようです。
中間部、長打な三重フーガが始まり、クライマックスを形成します。
最後はバイオリンが第1主題をぶつ切れに、まるで死に向かう者の呼吸のように演奏されます。
第3楽章 変ホ長調
Scherzo Allegro vivace
交響曲の第3楽章にハイドン、モーツァルトはメヌエットをおいていました。
メヌエットはゆったりとした三拍子の踊りの音楽で穏やかな性格を持っていましたが、ベートーヴェンはそれではつまらないと感じたのか、交響曲第1番ではメヌエットと書いているにもかかわらず、急速なテンポの激しい曲調で書きました。
交響曲第2番からはスケルツォと明記し、以後交響曲第8番以外は全てスケルツォを用いています。(交響曲第8番はセルフパロディと冗談に満ちた曲なので、急にメヌエットに回帰して聴衆を煙に巻くためだと思われます。)
スケルツォとは冗談という意味です。
当楽章もスケルツォで、きわめてテンポが速いです。冒頭から92小節までずっとppでわずか1小節(0.5秒)で、ffまでクレッシェンドします。まさに冗談のような音楽です。
トリオではホルン三重奏で狩りのホルン(ホルンは元々狩猟の合図をする楽器でした)を演奏しますが、ここに分散和音が用いられています。
第4楽章 変ホ長調
Finale Allegro molto
ベートーヴェンがこの曲の前に書いたバレエ音楽プロメテウスの創造物の終曲のテーマを用いた変奏曲とフーガのブリッジがある自由な形式の音楽です。
冒頭弦楽器による激しい下降音型の序奏が終わったあと、弱音で弦楽器のピチカートによるメロディともおぼつかないような断片的な楽句が演奏されます。これはまだプロメテウスの創造物のテーマではありません。
(ド・ソ・ソ・ド ドシド ドレシドファソ)
この音型には第三音(ミ)が含まれていないこともあり、色彩に乏しく、どこか不思議なメロディです。
このメロディが弦楽器だけで室内楽的に変奏されていき、第四変奏ではじめてオーボエによってプロメテウスの創造物のテーマが演奏されます。
(ドミードシーレファーレドーミソ)
初めて第三音(ミ)が現れ、パッと色彩が豊かになります。このテーマが分散和音になっています。
その後フーガの部分があります。
ベートーヴェンはバッハに強い憧れを持ち、終生対位法の研究をし、晩年の曲は対位法の性格の強い曲を書いていきますが、英雄でもかなり長大なフーガを聴かせます。
かと思えば、急に粗野で下品な変奏があったりします。このあたりににベートーヴェンの二面性を感じますが、高度な音楽だけでなく、大衆ウケを狙ったような部分も併せ持っているところが、ベートーヴェンの愛される所以でもあると思います。この粗野な変奏は演奏者も楽しいところであります。
その後は2番目のフーガや、ゆっくりとした変奏があり、コーダは弦楽器のトレモロによる激しい下降楽句と分散和音、狩りのホルンを組み合わせ、変ホ長調の主和音を連打して終わります。
なお、この最終楽章にて燃え尽きる為、本演奏会にはアンコールはございませんのでご了承ください。
団員紹介 (☆は賛助出演者)
1stViolin
井上 涼
景山 慶彦
神辺 まどか
☆岡田 莉緒
☆竹居 セラ
2ndViolin
北原 百夏
冨岡 裕太
山﨑 潤
☆岡田 大樹
☆田中 貴晃
Viola
井上 希
木村 颯
立川 省吾
☆岡田 清花
Violincello
玉﨑 一慶
納所 美空
☆入矢 結理奈
☆竹山 将太朗
DoubleBass
竹内 真理子
冨岡 朋子
Flute
池田 智子
大野 由紀子
吉岡 理麻
Oboe
清水 教智
田淵 美幸
田村 萌
Clarinet
清水 和
☆石塚 誉
☆藤原 恵莉
Bassoon
西条 智也
白山 紘平
能美 和也
Horn
牛島 裕望
澁谷 崚誠
田村 翔
三川 創
彌重 幹昌
Trumpet
古市 和典
山﨑 雄大
Percussion
☆溝上 洋介
指揮
福留 音央
団長
木村 颯
インスペクター
山﨑 潤
コンサートマスター
井上 涼
サブコンダクター
景山 慶彦
会計監査
清水 教智
広報
能美 和也
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次回演奏会
2027年1月24日(日)
ゆるびの舎文化ホール
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近隣友好団体様の直近演奏会
倉敷管弦楽団 様


コンサート in 倉敷 実行委員会 様

アンサンブルヌーボー 様


玉野フィルハーモニー 様


岡山シビックホールブラス 様

